2013年10月15日火曜日

オスカー・ココシュカ展

Museum Boijmans Van Beuningen, photo Hans Wilschut

オランダのロッテルダムにあるボイマンス・ファン・ベーニンヘン美術館で「オスカー・ココシュカ―人々と動物の肖像」展が開催されている。この展覧会は絵画や素描など148点が展示されている。クリムト、シーレと並び、近代オーストリアを代表する画家の一人であり、表現主義に分類されることが多いココシュカであるが、彼自身はウィーン分離派、「青騎士」、「ブリュッケ」などの当時の芸術運動やグループには参加せず、独自の道を歩んだ。

ココシュカは生涯に素描、リトグラフを含む多数の肖像画を数多く制作し、代表作の多くも肖像画である。彼はモデルのかしこまった姿よりも、普段の姿を描くことを好んだ。たとえば、友人と会話を交わしたり、食事をしていたり、子どもなら遊びに夢中になっている様子である。そして、観察によって得た特徴的な身振りや個性的な表情をカンバスに描きとめた。また、ココシュカは1966年にあるテレビ番組のインタビューにおいて、「空間における人のオーラ」に興味があると語っている。彼の作品中の人物はまるで身体から光を発しているように見え、人物の内面が彼を取り囲む周辺空間に放射しているようだ。



1926年から翌年にかけて、動物がココシュカの強い興味の対象となった。彼は当時滞在していたロンドンのリージェント・パークにある動物園で、許可を得て営業時間外に制作を行った。ティゴン(ライオンとトラを掛け合わせた雑種)やワニ、シカなどが描かれた。そのうちの一点に《マンドリル》がある。ココシュカは動物園を訪れた際に毎回バナナを与えているにもかかわらず、マンドリルは彼に馴つくことはなく、むしろ歯をむき出しにして威嚇し続けた。ココシュカはマンドリルのなかに決して飼いならされることのない真の獣の姿を感じとり、彼を現実の小さな檻の中ではなく、本来の居場所である自然豊かなジャングルのなかに描いた。

ココシュカの芸術は、常に対象物の精神の探求が表現されている。激しい色彩によって描かれた対象の内面が立ち顕れる作品群は、多くの鑑賞者に深い感銘をもたらすだろう。




「オスカー・ココシュカ―人々と動物の肖像」展は、2014年1月19日まで開催。(月曜、12月25日、1月1日休館)
ボイマンス・ファン・ベーニンヘン美術館 Museum Boijmans Van Beuningen
Museumpark 18-20
3015 CX Rotterdam
the Netherlands
www.boijmans.nl/en/
開館時間:
火曜日~日曜日 11:00-17:00
休館日:
毎週月曜日及び1月1日、4月27日、12月25日